公開日:2024.09.05
SKIN CARE
レチノールがシワを改善!
毛穴・たるみにも効く?効果的な使い方も解説。
SNSで話題となり、一躍有名になった“レチノール”。とはいえ、その効果や使い方をきちんと理解している人は少ないようです。なんとなく「シワに効くらしい」「毛穴にいいらしい」……とはわかっていても、化粧品成分に、はたしてそんな効果があるのだろうか……と半信半疑の人もいるかもしれません。そこで、レチノールが持つ驚きのパワーや効果的な使い方をわかりやすく解説。これを読んだら“目から鱗”。レチノールの印象がガラリと変わるかもしれません。
そもそもレチノールってなに?どんな効果があるの?
美容マニアの間では、「画期的な成分」「美容成分の革命児」と、その効果が注目されているレチノール……。そこまで絶賛されていると、やはりちょっと気になりますよね。まずは、レチノールの基礎知識から学んでいきましょう。
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レチノールは、抗酸化作用のあるビタミンAの一種です
レチノールは、すこやかな肌をつくるために欠かせないビタミンAの一種です。ビタミンAはビタミンC・Eと並んで「ビタミンACE(エース)」と呼ばれ、体内の活性酸素の働きを抑える抗酸化ビタミン。ビタミンA類全般のことを「レチノイド」と総称します。
美容の分野においては、主に次のような働きが注目されています。
ビタミンAの主な働き
ビタミンAは、食事やサプリメントから摂取できます。けれど、臓器など体内のあちこちで必要とされているため、肌に届くまでに時間がかかり、また十分な量が届いていないかもしれません。そのため、肌においては食事だけでなく、直接肌に届ける「塗るケア」が有効なのです。
化粧品に配合されているレチノールは、大きく2つ
「純粋レチノール」と「レチノール誘導体」
化粧品に配合されるレチノールは、大きく2つに分類されます。
① 純粋レチノール・・・ピュアレチノール・生レチノールも同じ。単にレチノールと呼ばれることもある。
② レチノール誘導体・・・純粋レチノールに別の物質をくっつけて安定化させ、扱いやすくしたもの。
[主なレチノール誘導体]◎パルミチン酸レチノール ◎酢酸レチノール ◎プロピオン酸レチノール……など
「純粋レチノール」と「レチノール誘導体」は、どう違う?
「レチノール誘導体」は、肌に浸透し酵素に分解されると「純粋レチノール」に変化します。そのため、肌に作用するメカニズムは2つとも同じ。さらに「純粋レチノール」は酵素により、下図のように変化します。そして変化に応じて、ビタミンAの効果が強まるのが特徴です。
「レチノール誘導体」「純粋レチノール」は、最終的に「トレチノイン(レチノイン酸)」に変換され、強い効果を発揮します。「トレチノイン(レチノイン酸)」の作用の強さは「純粋レチノール」の約50~100倍と言われますが、その分刺激も強く、日本では医師の処方が必要な医薬品です。
厚生労働省が認可した「純粋レチノール」とは?
シワ改善効果が認められ、2017年に厚生労働省より[医薬部外品 シワ改善薬用有効成分]として認可されました。医薬部外品表示名は「レチノール」ですが、一般に「純粋レチノール」や「ピュアレチノール」と呼ばれています。
※イメージ
純粋レチノールは、速攻性がある!
レチノール誘導体がゆっくりと穏やかに肌に作用するのに比べ、純粋レチノールはすぐに効果を発揮します。ではなぜ、化粧品に配合されているのは純粋レチノールより、レチノール誘導体の方が多いのでしょう。
実は、純粋レチノールには「扱いにくい」というデメリットがあります。けれど、化粧品の技術は日進月歩。純粋レチノールを安定的に配合するために、日々研究が重ねられているのです。
純粋レチノールの特徴:
① 速攻性がある
② 光や熱、酸素などに弱く不安定なため、化粧品に配合するのに技術がいる
③ レチノールそのものは油溶性のため、そのままでは肌の奥深くまで浸透しにくい。浸透性を高めるため各社工夫をこらしている
純粋レチノールを、安定的に化粧品に配合する技術とは?
純粋レチノールは、肌の奥深く=真皮まで浸透してこそ、高い効果を発揮します。この真皮まで届ける技術を追求し、化粧品業界では各社がしのぎを削っています。また、純粋レチノールの安定性を高めるために、容器にもさまざまな工夫が……。例えば、中身が空気に触れない容器や、中身を一度出したら戻らない「バックレスチューブ」など、パッケージにも細かい配慮が施されています。
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シワ改善だけじゃない、レチノールの効果に注目
肌の奥(真皮層)までアプローチするレチノールの効果は絶大です。
ここでは、レチノールの得意ワザであるシワ改善を始め、どんな肌悩みに効果があるのか、それぞれ解説していきましょう。
知っておきたい[肌への効果]
[効果1] シワ改善 たるみ改善
肌のハリ・弾力は、真皮層のコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸が重要な役割を担っています。けれど、加齢や紫外線、乾燥によって真皮のコラーゲンやエラスチンが減少・変性すると肌は弾力を失い、シワやたるみとなって現れます。
レチノールは、ハリ・弾力のもととなるコラーゲン・エラスチンなどの生成を促進。肌を土台(真皮)から立て直し、シワ・たるみを改善してくれるのです。
[効果2]毛穴を目立たなくする
毛穴が目立つ主な原因は、皮脂や汚れが角栓となって毛穴を詰まらせたり、開かせたりしているからです。
レチノールには、過剰な皮脂分泌を抑制する作用と、ターンオーバー(肌の新陳代謝)を促進する作用により、詰まり毛穴にアプローチ。さらに、コラーゲン生成促進により肌の内側からハリを与え、毛穴をふっくらと目立たなくしてくれるのです。
[効果3]ニキビを予防・改善
ニキビの原因は、過剰な皮脂分泌が関係しています。余分な皮脂や汚れが毛穴に詰まると、アクネ菌が増殖しニキビが発生。炎症を起こして赤ニキビとなり、ニキビ跡が残ることもあります。
レチノールは、過剰な皮脂を抑制し、ターンオーバー(新陳代謝)を促進。古い角質が剝がれやすく、毛穴も詰まりにくくなり、ニキビの根本原因にアプローチ。ニキビを予防・改善してくれるのです。
[効果4]シミ・くすみを改善
紫外線などの刺激が引き金となり、シミのもととなるメラニンが生成されます。通常メラニンは、肌のターンオーバー(新陳代謝)によって、肌の外へ排出されますが、ターンオーバーが乱れると、シミやくすみとなって現れます。
レチノールは、肌の新陳代謝を促進し、メラニンを排出されやすい肌に整えます。それにより、シミやくすみといった色素沈着を薄くする効果が期待できるのです。
レチノールの効果的な使い方・注意点も解説
シワやたるみ、毛穴、ニキビ、シミの改善など、オールマイティーな作用をもつレチノール。けれど、レチノール配合化粧品を使用する際は、注意が必要な場合も……。レチノールの効果をまるっと実感するためにも、下記の点に注意しましょう。
POINT①:使う順番が大事
レチノールは油溶性ビタミン。化粧品には油分に溶かし配合することが多いため、洗顔直後の肌に塗ると、油分が邪魔をして、その後に使う化粧水などが肌に浸透しにくくなる場合があります。基本は、油分の少ない化粧水➝美容液・ゲル➝油分の多いクリーム……の順番で使いましょう。
また、レチノールを使用するとターンオーバー促進作用により、一時的にバリア機能が下がり、肌が乾燥しやすい状態になります。お手入れの最後は、保湿ゲルをたっぷり塗って、保湿を徹底するようにしましょう。
POINT②:レチノールは、朝使えない?
レチノールは紫外線にあたると分解されやすい特徴があります。そのため「朝の使用は控えた方がよい」と言われていますが、日焼け止めを塗ったり、帽子や日傘で防御したりと紫外線対策をしっかり施せば、朝の使用も可能です。
けれど、化粧品によっては夜のみの使用を推奨している商品もあるので、必ず使用上の注意を読みましょう。
POINT③:レチノール反応(A反応)
肌トラブルにマルチに働くレチノールですが、塗った部分が赤くなったり、ひりついたりとトラブルを起こすことがあります。これは正常な反応で、不足していたビタミンAが補われ、肌の新陳代謝が活発になることで起こります。「レチノール反応(A反応)」と呼ばれ、使い始めの頃に起こりがちです。
使い始めに多いレチノール反応ですが、「途中から出てきた」という人もいます。これは日焼けやホルモンバランスの乱れ、ピーリングなど、さまざまな要因が考えられます。肌が乾燥していたり、肌荒れした状態で使用すると、レチノール反応が出やすくなるので、注意しましょう。
[対処法を知っておこう]もし、レチノール反応が起こったら?
レチノール反応が起こっても、あわてることはありません。すぐに使用を中止するのではなく、下記の対処法を実践してみましょう。
対処法①:2~3日置き・夜のみ使用する
毎日ではなく、週に2、3日程度、夜のみの使用にして、徐々に使用日数を増やしていく方法です。使用を続けるほどに肌が次第に慣れてくるため、レチノール反応は起きにくくなります。
対処法②:レチノールを使う前に、ゲルなどで保湿する
洗顔後は化粧水だけでなく、保湿力が高い水溶性のゲルなどをたっぷり塗ってから、レチノール配合化粧品を使いましょう。また、レチノール化粧品を塗っていない時も、肌に刺激を与え、乾燥に導く紫外線対策を万全に行うこともお忘れなく。
対処法③:アレルギー症状が出た場合
明らかにレチノールを塗っていない箇所に異常が出たら、アレルギーの可能性も……。その場合はすぐに使用を中止して、皮膚科医に相談しましょう。
こうした肌トラブルを防ぐためには、まず二の腕の内側など紫外線があたらない部分に化粧品を少量塗って、肌の変化を観察する「パッチテスト」を行いましょう。まずは、30分ほど放置し、赤みやかゆみが出ていないかを確認。異常がなければ24~48時間ほど様子を見ます。自宅で手軽にできるので、初めての化粧品を使用する前には、パッチテストをしておくと安心ですね。
美肌効果がアップ!? レチノールと相性のいい美容成分
単体で使っても魅力的なレチノールですが、相性のいい美容成分と併せて使うと、効果の期待値が高まります。
新しい化粧品を購入する際や、合わせ技で使う際のヒントにしてくださいね。
相性のいい成分①
レチノールとナイアシンアミドが真皮に働きかけ、コラーゲンやエラスチンの産生を促進。この2成分の効果により、肌をパワフルに引き締め、シワ・たるみを改善します。
相性のいい成分②
レチノールを使うと、赤みやピリつきといった「レチノール反応」を起こすことがあります。けれど、優れた保湿効果をもつヒアルロン酸が、レチノールの刺激を弱めるクッションのような役割を果たしてくれます。
この2つを併用することで、ヒアルロン酸が肌にたっぷりのうるおいを与えながら、レチノールの刺激を緩和してくれる、非常に相性の良い組み合わせです。
相性のいい成分③
「レチノールとビタミンCを一緒に使うのは良くない」という説がありますが、答えはNO。適正なpHがそれぞれ異なるため、ひとつの化粧品に同時配合するのが難しく、成分同士の相性は良くありません。そのため、「肌との相性も良くない」と勘違いされがちですが、それとこれとは別物です。
レチノール×ビタミンCを一緒に使えば、それぞれ異なるアプローチにより、多くの効果を享受することができるのです。最近では化粧品技術の向上により、純粋レチノール×高浸透ビタミンC(APPS)を同時配合した美容液も登場。2大美容成分を同時に肌の奥に届けることで、さらなる効果が得られそうですね。
[レチノール豆知識]
体内のビタミンAが不足すると、どうなる?
肌への効果が注目されているレチノールですが、体の健康維持に不可欠な栄養素。ビタミンAはレチノール、レチナール、トレチノイン(レチノイン酸)の総称で、目や皮膚の粘膜を健康に保つ役割を担っています。不足すると、薄暗いところでものが見えにくくなったり、皮膚や粘膜が乾燥し角質肥厚を起こしたり……。
体内で作り出すことができないため、摂取する必要がありますが、現代の食生活において、ビタミンAが不足することはほとんどないと言われます。逆に摂り過ぎには注意が必要。頭痛やめまいといった健康障害を起こすことがあるので、サプリメントなどを利用する際には、過剰摂取に注意しましょう。
ビタミンAが多く含まれる食品って?
Q
体に不可欠な栄養素・ビタミンA。ビタミンAや、体内でビタミンAに変換されるプロビタミンAを多く含む食品はどれでしょう?
□ レバー
□ うなぎ
□ バター
□ チーズ
□ 卵
□ しそ
□ にんじん
□ モロヘイヤ
□ ほうれん草
A
全部が正解!
ビタミンAは、油に溶けやすい性質を持つ油溶性ビタミンです。油を使った調理をすると吸収率が高まります。また、同じく抗酸化作用をもつビタミンCやビタミンEと一緒に摂ると、相乗効果が期待できます。
このようにビタミンAは、肌への効果のみならず、身体の健康にも影響しているのですね。
[補足]
野菜に多く含まれるプロビタミンAは、体内でビタミンAが不足するとビタミンAに変換されます。プロビタミンAはたくさん摂取しても過剰摂取にはなりません。
この記事のまとめ[シワだけじゃない!毛穴・たるみにも効く]
レチノールの基礎知識から使い方、相性の良い成分まで、一挙にご紹介しました。
マルチな効果をもつレチノール……そのスゴさは伝わりましたか?
◎ シワ改善 たるみ改善
◎ 毛穴を目立たなくする
◎ ニキビを予防・改善
◎ シミ・くすみを改善
日々進化する化粧品技術により、レチノールはもちろん、レチノール×ビタミンCを組み合わせた化粧品も登場しています。手軽に毎日のスキンケアに取り入れることができるのだから、使わない手はありませんね。シワ、たるみ、毛穴、シミ、くすみ、ニキビ……、レチノールのもつさまざまなパワーを取り入れて、ハイレベルなスキンケアを楽しみましょう。